これまで何回か、ビジネスモデルキャンバス(BMC)について解説してきた。
「BMCはできた。わかりやすいね。で、だからどうなの?
うちの会社はこれを見てどうしたらいいの?」
これは実際にある中小企業の社長から言われた言葉だ。
BMCは作って終わりではない。
それは、現時点での自社のビジネスを切り取った静的なスナップショットでしかない。
完成したBMCを眺めて、要素間のつながりを検証することで、
今後何をすればいいのかが見えてくる。
要素間のつながりは適切か
適切なビジネスモデルであれば、9つの要素が意味のあるつながりを持っているはずだ。
逆に言えば、つながっていない要素があれば、それは何か間違っている。
相手をまちがっていないか?
「提供価値」と「顧客」のつながりを考える。
自分が提供しようとしている商品・サービスは、本当に「顧客」が求めているものだろうか?
自分が提供できる価値の限界に囚われて、顧客を見失っていないか?
逆に、顧客のことを考えるあまり、自分には提供できない価値を無理矢理提供しようとしていないか?
届け方はまちがっていないか?
届け方は適切か?高齢者にネットを使ってサービスを提供するのは難しいし、
若者に新聞の折込広告で何かを伝えることも困難だ。
PCサイトは作ったがスマホ用に最適化されていないとしたら、その届け方は今の時代に適切だろうか?
届くまでの時間はどうだろうか?
「提供価値」と「顧客」との関係によって、最適な「届け方」は異なる。
この3要素のつながりはしっくりくるだろうか。
「顧客」が必要な「(提供)価値」を生み出せたとしても、
それを届ける方法がなければ、ビジネスにはならない。
いい関係を築けているか?
自社の提供する価値(商品・サービス)を通じて、顧客といい関係は築けているだろうか?
あらゆるタッチポイント(顧客との接点)で、一貫性のある世界観を提供できているか?
商品・サービスの購入後も顧客との関係を継続できるような仕組みを作っているか?
関係を継続する手法は、営業訪問でも電話でもメルマガ・チラシでもなんでもいい。
一度できた「ご縁」を放置するのはもったいなさすぎる。
次回はBMCの左側、「協力者」「重要活動」「経営資源」と「提供価値」とのつながりについて解説する。
(つづく)