日経トップリーダーの2020年10月号に、「危ない社長の3大要素」が掲載されていた。
出典は編集部で、帝国データバンクへの取材を元に作成したそうだ。
- 計数に弱く、数字で語れない
- 将来の大きな話ばかりをして足元を見ていない
- 人情味に厚すぎ、厳しい事業ができない
まあ、確かにそうだ。
計数に弱くてもダメ、強すぎても問題あり
計数に弱く、数字で語れなければ経営は厳しい。
「数字のことは税理士や経理の担当に任せている」という社長は思いのほか多い。
売上が増加し企業が成長している間はそれでも問題は起きにくいのだけれど、下降局面で大きなリスクに直面してしまう。
経理が帳簿をごまかして会社の金を遊興費に使っていた・・なんてケースもあった。
税務調査で発覚した。社長は信じていた経理に裏切られたショックで激やせしてしまった。
ただ、逆も言える。計数に強く、数字で「ばかり」語る社長もまた危険だと思う。
データを重視するあまりリスクを伴う意思決定ができない、ボールペンひとつ買うのにも社長の許可がいる、労働時間を厳密に管理し閉塞感のある職場を作り上げる・・など、計数に強いが故のデメリットだってあるのではないか。
将来も、足元も
将来の大きな話ばかりする社長も多い、「いや、3年後のバラ色の未来はいいのですが、今月末の資金繰りどうするんですか」と言いたくなるような。
人類とか社会、国家のことを語り出す社長達のほとんどは、経営が思わしくないような気がする。
あくまで個人の感想で、統計的な裏付けがあるわけではない。
また、本業でしっかりと稼いだ上で天下国家を語る社長も居るだろう(ごくわずかだと思うが)。
足元の仕事が忙しければ、人類みたいな大きな主語で物事を語る暇はない。
こちらもまた「過ぎたるは及ばざるがごとし」であって、足元ばかり見ている社長もまた問題ありだ。
将来は風任せで先が見通せない環境で働くのは、その社長は良いとしても社員には大きなストレスだろう。
また、将来の話はあるけれど大きくはない、つまり「現状維持で十分、給料はずっと上がらないし、待遇の改善もしない。新しい社員は入ってこないという環境もまた、やる気を失わせるものだと思う。ずっと同じ生活がループするというのは、辛いものだ。
足元の仕事をしっかりと進めつつ、片方では将来の大きな話も構想する、というのが正しい姿ではなかろうか。
人情味もまたしかり
人情味もそうだ。厚すぎるのは問題だが、薄情なのもまたそれはそれで問題。
厳しい判断を先送りすれば、ダメージは大きくなるばかりだ。取引先が可哀想だ、従業員に申し訳ない、それはそうかもしれないが、それでも全体を守るために誰かを不幸にしなければならないときがある。
いい人であれば皆からは好かれるだろうが、いい人イコールいい経営者ではない。
どんなに愛されても、会社を潰してしまえば、その時点からは憎まれることになる。
かといって、人情味がまったくなく機械のように冷静に意思決定できる社長もまた問題だろう。
従業員を部品のように使い捨てできる会社で働きたいと思う人間は、ゼロとはいわないがめったに見つからない。
結局はバランスなのだと
歯切れの悪い結論になってしまうが、結局のところは「中庸」「バランス」という話になるのだと思う。
数字に強いけれど、数字の限界も理解する。
足元も見ながら、ときおり将来にも目を向ける。
人情味を持ちつつ、必要な時は冷酷な判断もできる。
・・・これでは曖昧すぎて記事にはならないな。私が記者なら、デスクから「書き直せ」と怒られそうだ。