良い交渉をしたければ、事前準備は必須だろう。
何も準備せずに交渉に臨めば、交渉相手に議論の主導権を握られ不本意な合意をすることになりかねない。
交渉の準備には5つの段階がある。
- 状況の把握
- ミッションの確認
- 自分の強みを探す
- ターゲティング
- 合意できなかった場合の代替案(BATNA【バトナ】)
- 状況の把握
現在自分が置かれている状況や、交渉相手は誰か、責任者は誰か(交渉相手当人ではないこともある)、交渉相手の目的は何か、また目的が複数ある場合、その優先順位は・・・といったことを考えておく。
全てが事前にわかるわけではないが、あらかじめ想定しておくことでいざ交渉が始まった場合に冷静に対応できる。
- ミッションの確認
自分が交渉を通じて何を実現したいのかを考える。たとえば、パソコンを買うための交渉をするとしよう。あなたは、単に価格を下げて欲しいのか、オプションでプリンタを付けてもらいたいのか。そもそもパソコンを買う必要はあるのか?自分がやりたいことを考えれば、むしろタブレット端末の方がいいのでは?
「そもそも論」を考えることで、本当の目的が見えてくる。
- 自分の強みを探す
自分が相手に「何を提供できるか」を考える。
交渉のポイントはひとつだけではないはずだ。価格を下げることはできなくても、他のサービスなら無償で提供できるかもしれない。また、交渉相手の事務所から地理的に近いことだって十分な「強み」になり得る。
なるべくたくさんの「強み」を用意しておけば、交渉の際に使える武器が増える。 - ターゲティング
1,2,3を考えてから、やっと今回の交渉での「協議事項」が検討できる。
協議事項を交渉前にある程度決めておかないと、交渉中に話があちこちに飛んでしまって収拾が付かなくなる。また、お金が絡む交渉の場合は、最初に提示する金額と、最低ここまでなら譲歩できる、という金額を決めておこう。(原価割れの取引をしてしまっては意味がない)
- 合意できなかった場合の代替案(BATNA【バトナ】)
合意できなかった場合の代替案のことを、交渉学では英語の頭文字を取ってBATNA(バトナ)と呼ぶ。
交渉は決裂する場合もある。決裂した際にどうするのか、目的を実現するための他の方法はあるのかどうか。
代替案を事前に考えておけば、決裂を恐れずに交渉ができる。代替案がなければ?その時は、相手にそれを気づかれないようにしなければならない。
気づかれてしまったら、相手の主張を全て受け入れなければならなくなるだろう。