人生の成り行きで社長をしている。人に命令するのは苦手だ。嫌いと言った方がいいかもしれない。「君のことには関与しないから、私は私で好きにやらせてもらう」がポリシーだ。
でもそうも言っていられない。曲がりなりにも人の上に立っているのだから、管理しないといけない。
何かあれば積極的に矢面に立つし、謝罪が必要ならいつでもどこでも伺って頭を下げる。
会社を維持するためにタフな交渉もしなければいけない。
社員から嫌われることも、中長期的に会社のためになると思えばやらないといけない。
最終責任は全て自分が取る、たとえそれが、明らかに社員のミスだったとしても。
ノーブレス・オブリージュという言葉がある。元々は貴族などに課せられた義務のような意味だ。貴族の存在しない現代では「恵まれた者」程度の意味だろうか。
私は社長をすることで高い給与をもらい、自由度の高い生活をしている、いや、現実には、社員の協力により「させてもらっている」といったところだろうか。
であれば、そこには(比較的に、だ。世の中全体で見れば大したことはない)「恵まれた者」としての「義務」が発生する。社長としての仕事は個人としては嫌なもの、できれば避けたいものばかりだが、やりたいこととやるべきことはいつだって少しずれている。