ちょっと前の話になるが、とあるセミナーを受講した。東京で開催され、結構なお値段だったのだが、その価値はあったと思っている。
講師は、私の同業者の社長だ。いや、もと社長。数年前に急拡大し、その後倒産した。あれから数年経って、自分の経験を話してくれるという。同業者の私からしたら、こんなにありがたいことはない。他人の、それも自分と似た状況の人の失敗は大変参考になる。そこから学べば、私は同じような、もしくは似たような失敗を避けることができるかもしれない。
冒頭、持ち時間の半分くらいは、彼と彼の会社が作った経営理念の説明が行われた。よほどの思い入れがあったのだろう、言葉に熱がこもっていたし、司会者が「そろそろ本題に」と苦言を呈するほどに長く喋っていた。
確かに素晴らしい経営理念だと思った。でも、それは潰れてしまって今はもう存在しない会社の経営理念なのだ。誰からも顧みられることもないし、いずれ忘れ去られてしまう。そう思うと無常感に包まれた。そして、そんな素晴らしい経営理念も、会社と組織を守ってはくれなかったのだと思った。言い方は悪いかもしれないが、経営理念とは所詮綺麗事に過ぎず、事業がうまく回っている間だけ機能しているように見えるだけのものではないかと疑ってしまう。
急激な事業拡大に組織が追いつかず、事業環境の変化がとどめを指したというのが倒産の大まかな理由だった。細かい点でも私が学ぶことはたくさんあった。本当に参加してよかった。同業者の参加は私だけだったそうだ。他の同業者は「自分はあんなことには絶対ならない(ので、聞く必要がない)」と思っているのだろうか。私は、自分と倒産会社の社長との境界は曖昧で不確定であって、ちょっとした拍子にあっち側に行ってしまうのではないかと、いつも怯えている。何か、一手を間違えていたら、講演台で喋っていたのは私だったかもしれない。
同じところと、違うところ。倒産した同業者と私の会社とは、同じところもあったし、違うところもあった。同じところに注目して、そこを改善していけば、同じ罠にはハマらないと思う。違うところばかり強調して「自分とは違う」と慢心していたら、同じ罠があってもそれに気づかない。
何よりも、こうやって表にでて、自分の失敗を赤裸々に語ってくれたことに感謝したい。同じ状況なら自分にそれができたかというと、怪しい。















