公共の利益

アダムスミスはその著書「国富論(あるいは、諸国民の富)」に、こう記した。

わたしは公共の利益を推進するとうそぶいている人によって
大きな何かが成し遂げられた例をまったく知らない。

大きな何かを成し遂げるのは、大抵は起業家であり、突出した個人だ。
公共の利益という概念は非常に曖昧で、推進する!といっている人が果たして
どれだけ推進したのか、それを定量的に測ることは難しい。
だから、「推進した」と強く主張することができる。厚顔無恥であれば。

アダムスミスは各人が自身の欲望に任せて活動することが、
周り回って「公共の利益」を実現することになると言っている。
資本主義は批判を浴びながらも、生活を楽にし、寿命を伸ばし、人々を豊かにした。
誰も「公共の利益」など微塵も考えていなかった。自分が儲けたいだけだった。
成功した後、とってつけたように「社会のためだった」と主張する人はたくさんいるが。
一万円札のあの人も、論語について語り出したのは晩年になってからだそうだ。

でも、結果としてそうなる。誰も公共の利益なんて考えていなくても、公共の利益が実現してしまう。
それが資本主義の素晴らしいところだ。
問題はあるにせよ、全体としては及第点の制度。

(私はそういう意味で、「社会起業家」なる人種をあまり信用できない。あえて「社会」とつけるその傲慢さが。)
(全ての事業は何らかの形で社会に貢献している。そうでなければ存続できない)

資本主義を嫌悪する人たちは、かつての社会主義国の状況が書かれた本を一冊でも読んで見るといい。
その上で、社会主義や共産主義がより良い体制だと思う人がいるのなら、ぜひ話を聞いてみたい。

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