前回の記事「ぜんぜん準備してないよ〜自己ハンディキャッピングの弊害」の続き。
自己ハンディキャッピング行動を乗り越えるには
自己ハンディキャッピングは、表面上はプライドを保つのに有効であるが、実際は自ら失敗の可能性を高める行為である。
また、周囲の人間に与えるイメージも決して良くはない。
なによりも問題なのは、失敗から学ばなくなることだ。
準備不足のせいにすることで、自分の知識や技能のどこが不足しており、どのように改善すればいいかを考える機会を自ら捨ててしまっている。
失敗から学ぶ(自己非難)ことは、自分のプライドを自分で傷つける行為であり、あまり気の進まないものである。
自己非難をする際には(1)性格論的自己非難と(2)行動的自己非難の二種類がある。
結論から言えば、自己ハンディキャッピングを避けるためには、(1)を避けて(2)を行うべきである。
(1)性格論的自己非難
性格論的自己非難は、ネガティブな結果の原因を個人の特性に求める。
たとえば、
- 試験の成績が悪かったのは私の頭が悪いから
- 上司に怒られたのは自分が仕事をできないから
- 受注が取れないのは僕の性格が暗いから
といった調子だ。
性格論的自己非難からはなにも学べない。
「これが私」と開き直るか、「性格を変える」という曖昧で壮大な願望を抱くだけだ。
結果、行動は何も変わらない。
(2)行動論的自己非難
いっぽう、行動論的自己非難は、ネガティブな結果に対して、自分がした行動だけに焦点をあてる。
- 試験の成績が悪かったのは勉強量が不足していたから(だから、もっと勉強すればいい)
- 上司に怒られたのは自分が事前準備を十分にやってなかったから(だから、準備をより入念にやればいい)
- 受注が取れないのはクロージングの技術が未熟だから(だから、関連書を読んだりセミナーに参加すればいい)
という具合に、行動に着目すればおのずと改善点が浮かび上がってくるため、不必要に落ち込む回数は減る。
自己ハンディキャッピング行動は楽だしプライドも守れる。
しかし、長期的にみていいことはなにもない。
失敗から学ぶのは確かに苦痛だ。
ただ、行動論的自己非難を意識することで苦痛を軽減することはできる。
「昨日飲みに行っちゃって、ぜんぜん準備できなくて」と言うのはもう辞めて、問題を把握してしっかりと改善につとめていこう。
次はきっと、うまくできるよ。