試験や大事なプレゼン、面接の前など。
準備しなければいけないとわかっている。
なのに、ついついゲームをしたり友人と飲みにでかけたりすることはないだろうか?
これは心理学で「自己ハンディキャッピング」と呼ばれる行為で、さまざまな弊害が指摘されている。
自己ハンディキャッピングとは
実際に失敗する前に、失敗した時のための言い訳をあらかじめ用意しておく行為を「自己ハンディキャッピング」という。
ふつう、ハンディキャップ(ハンデ)とは、ゴルフで実力差が大きい者どうしがゲームする場合にわざと打数に差をつけたり、将棋で「飛車角落ち」をしたりする行為をいう。
これらはゲームをおもしろくするための行為だが、自己ハンディキャッピングは違う。
その目的は失敗した時に自分のプライドを守ることにある。
「昨日はついつい友達と飲みに行って、ぜんぜん準備できなかった」
「ネットの動画にはまってしまって、仕事が間に合ってないよ」
と言っている人は多いし、筆者も経験がたくさんある。
よく考えると、わざわざ人に言わなくてもいい話しだし、話している人はなぜか得意げなことが多い。
これらの言い訳は、人に言ってこそはじめて意味がある。
人に言うことで、「今回失敗しても、それは彼の能力が不足しているではなく、あくまで準備不足だったのだ」と思ってもらいたい心理がそこに隠れている。
自己ハンディキャップ行動とハンディキャップの自己報告は別
「自己ハンディキャップ行動」と「ハンディキャップの自己報告」は別ものである。
「自己ハンディキャップ行動」は、実際に自分にとって不利になる行動をとることで、「ぜんぜんテスト勉強してないよ」といいながら、本当に勉強してないことを言う。
反対に、「ハンディキャップの自己報告」は、本当はしっかりと準備しているのに、失敗した時の言い訳のために嘘をつくことをいう。
「勉強ぜんぜんしてないよ」と言いながらあきらかに徹夜明けの目をした人などがこれにあたる。
ハンディキャップの自己報告は特に悪いことではないが、やっているうちにいつのまにか「自己ハンディキャップ行動」に移行してしまうケースがあるので注意した方がよい。
自己ハンディキャッピングが習慣になると危険
自己ハンディキャッピングが習慣になるというのは、努力をしないことを習慣にすることに等しい。
なぜこんな行動を取るかというと、自分のプライドを守るためである。
「今回のプレゼンの出来が悪かったのは、前日に痛飲したからであり、私の能力が不足しているというわけではない。」と言うために、人は大事な日の前日に努力をしなくなるのだ。
もちろん、周りの人がその言い訳で納得していると思っているのは自分だけで、周囲からは単に「必要な努力ができない奴」と思われていることだろう。
自己ハンディキャッピング行動は自分で完全にコントロールできる。
飲みに行くのも、ゲームに熱中するのも、言い訳をするのも、全部自分で決めることができる。
一方、自己ハンディキャッピング行動をとらずに一生懸命努力したとしても、必ずしも報われるとは限らない。努力の方向が間違っていることもあるし、方向は正しくとも失敗することもある。
努力の結果はコントロールできないので、コントロールできる「自己ハンディキャッピング行動」に走ってしまうのだ。
では、自己ハンディキャッピング行動に走らないためにどうしたらいいのか?は、次回の投稿で。