人間は得ることよりも失うことの方によりダメージを感じる。これは心理学で「損失回避」と呼ばれている。

損失回避は、一般的にはギャンブルでお金を得ることと失うことに関する実験で説明されることが多い。
ちょっと違った視点からの喩えとして、行動心理学の創始者であるダニエル・カーネマンの名著「ファストアンドスロー」に以下の記述があった。

嫌悪感にくわしい心理学者のボール・ロジンは、サクランボが山盛りになった器にゴキブリが一匹いただけで台無しだが、ゴキブリがいっぱいのバケツにサクランボが一粒混じっても何の感情も引き起こさない、と指摘する。
ロジンの言うとおり、いろいろな意味でマイナスはプラスを圧倒するのであって、損失回避も、そうした一般的なマイナスの優位性の一種と言うことができる。
ダニエル・カーネマン「ファストアンドスロー」より

誤字脱字の悪影響

サクランボとゴキブリのたとえから、仕事柄、資料の誤字脱字を連想した。
どんなにすばらしい資料でも、たった一文字の誤字脱字があれば、データの解釈の間違いがあれば、資料の信頼性を大きく損ねてしまう。これは、上記の引用における「サクランボの山盛りにゴキブリが一匹」のケースだ。

逆に、ひどい資料のなかにすばらしい洞察がひとつだけ入っていても、その資料の評価が上がることはないだろう。これは「ゴキブリの山にサクランボ一粒」のケースだろう。

たった一つの誤字脱字で取れるはずだった仕事を落としてしまっては目も当てられない。
ゴキブリは、一匹も居てはならない。

#このブログも誤字脱字が多いので、自戒を込めて。