前回に引き続き、クリティカルシンキングの話。
ウチの会社は特殊【内部集団の過剰評価】
人間は自分が所属する集団(国家、宗教、会社、趣味のグループなど)のことは「特別、個性的」だと認識する一方、他人が所属する集団のことは「普通で、無個性」だと判断する傾向がある。
学生時代に部活動をしていた方は、自分が所属する部活動のメンバーは皆それぞれ個性的で面白く、となりの部室の連中はつまらない奴らばっかり、やはりこの部活が最高だと思ったことがあるはずだ。
コンサルタントとしての考え方
上記では部活動を例にしたが、会社組織でもまったく同じことが言える。
筆者がコンサルティングに入り、現場の方と打ち合わせすると、社員から「ウチの会社は特殊だから(あなたの提案は上手くいかない)」という自慢とも言い訳ともつかない発言をいただくことが本当に多い。
この社員は、まさに「内部集団の過剰評価」の罠に陥っているのだ。過剰に高く評価している場合と、過剰に低く評価している場合のどちらもあるけれど、本質的な問題点は同じである。
この罠に陥ると、「他社の取り組みから学ぶ」という謙虚さを失ってしまう。
コンサルタントとしては、まずは「特殊な会社」というのはないことを伝える。もちろん口で言うだけでは理解してもらえないので、その後のコンサルティング活動を通じて徐々にわかってもらうように意識する。
最後に
宗教や国家など世の中のほとんどの争いは根本的にはこれが原因だと思われる。
自分の所属する集団も他人のそれも、偏った評価をせずフラットに考えることができる人が増えれば、少しは平和な世の中になるかもしれない。