不幸なできごとに遭ったとする。
この悲しみは一生続くのではないかと悲嘆に暮れるだろう。もう二度と前の生活には戻れないと。
しかし、いつしかあなたはその出来事に慣れてしまい、かつてと同じように笑い、泣き、喜ぶ、普段通りの生活に戻る。
いまの悲しみや喜びを過大に評価し、この状態が「ずっと」「長く」継続するという勘違いを「継続バイアス」という。
実際には配偶者を失うような大きな悲しみも、長年勉強した資格試験に合格したような大きな喜びも、思ったよりも長く続かないことが実験から明らかになっている。
いずれ忘れるとはいえ、辛いことはなるべく早く忘れたいのが人情だ。
そんなときは、悪い出来事に、無理矢理でもいいので意味を見いだすといいようだ。「試験に落ちたが、結果として自分の進むべき道を見つけた」「子供の病死をきっかけに同様の境遇にある人達を支援するNPOを立ち上げた」など。
また、文字にして整理することも効果がある。
逆に喜びはできるだけ長く継続したいものだ。
こちらは、ゴールを目的にするのではなく、その過程(プロセス)に楽しみを見いだすことで実現できる。
たとえば、資格の勉強はつらいけれども、知識を得ることや受験仲間との交流など途中の過程を楽しくするような仕掛けをたくさん作れば、「欲しがりません勝つまでは」と頑張るよりもトータルで大きな喜びを得ることができるだろう。